春の彼岸の中日、「春分」となりました。御日様が真東から昇って真西に沈む日、ですがこの高原では午前10時ごろに雪がチラついています。
啓蟄の候でふれました「木蓮」、上郡町内では今蕾の状況です。蕾は「頭痛」・「鼻炎」用漢方薬に用いられているようです。
満開はもう少し先ですね。
天気予想を見ると、結構、雨の日が多いようです。「菜種梅雨」でしょうか?
この時期の「朧月」を見る機会が減りそうです。
せめて俳句でと・・・
さしぬきを足でぬぐ夜や朧月 <与謝蕪村>
* 「さしぬき」は「指貫」。公家の衣服、裾をひもでくくるようにした袴。
この句は色々の解釈があるそうなので、皆様も色々情景を想像していただければと。
襟あしの黒子あやふし朧月 <竹久夢二>
「美人画」で一世を風靡した夢二作。「襟あし」の「黒子」(ほくろ)、「あやふし」(ぼんやり)と「朧月」。美人の所作も想像できそうな妖艶な世界。夢二独自の境地。
もう一つ夢二さんの句。(朧月ではないですが?)
ほつれ毛に遊ぶ風あり青すだれ
これも、「ほつれ毛」「風」「青すだれ」から同氏の「美人像」が感じられます。そして「青」が涼しそうですね。簾の向こうをみているのでしょうか。
夢二さんは岡山県邑久町の出身。播磨高原からもそんなに遠くはないです。若いころは何回か生家記念館を訪れたものです。
そして、26日は室生犀星の「犀星忌」。同氏の第二詩集の抒情小曲集の「小景異情」から有名な「その二」は、皆様、見れば懐かしいでしょうか?
ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの
よしや
うらぶれて異土の乞食となるとても
帰るところにあるまじや
ひとり都のゆふぐれに
ふるさとおもひ涙ぐむ
そのこころもて
遠きみやこにかへらばや
遠きみやこにかへらばや
多感な頃の故郷への思慕、哀傷を素直に抒情的に表現しています。
故郷を後にして暮らしている者には時代は違えど共感できるものですね。
さて、この高原では新芽の匂いが立つ頃となってまりました。桜ももうすぐ。
広報等でもお知らせしている通り3月30日には「かみごおりさくらマルシェ」が開催されます。
自然の息吹に感謝し、美しいものを愛で一瞬の寛ぎのなかで幸せを感じたいものです。
皆様、是非、来山され癒しの時を過ごしていただければ幸いです。