鼃始鳴(かわずはじめてなく)

2022/5/4 掲載

立夏(七節気)初候 第十九候 55日~510日頃

 蛙が鳴き始める頃です。

 こどもの日から季節は「立夏」。

 播磨自然高原では新緑が萌萌、心地よい薫風がそよぐ候となっています。

 この連休中、来山されている方も多いようです。

 この季節、「こいのぼり」を見ることがめっきり少なくなりました。

 中国では「龍門」という激流を上り「龍」となったことより「鯉の滝登り」、それが男子の「立身出世」に結びつき「登龍門」の言葉にも。

 実は、高原クラブ事務所から岡山県和気町まで車で35分程度のところに「徳永こいのぼり」で有名な、鯉のぼり生産量日本一のメーカーがあります。創業のきっかけは、日本画家の徳永春穂さんが長男誕生を祝って手描きの鯉のぼりを描いたことだそうです。

 小さい頃、田舎では小さな鯉のぼりでも皆さん結構大空に泳がせていました。

 しまっていた鯉のぼりを取り出してかかげようとする親の後をつきまとっていたことを思い出します。ひな人形の時もそうでしたが、子供は何故かドキドキ、ウキウキでしたよね?

 継承されてきた伝統・文化は引き継いで、お孫さんを喜ばせればいいですね。

 ところで、蛙は「元の所へかえる習性」があり、そこで「帰る」というそうです。本当?

 「蛙」の句としては余にも有名な芭蕉の句

 「古池や 蛙飛び込む 水の音」

 飛び込んだ水の音で蛙を詠むところに芭蕉の独創性が表現されていますね。

 その他、小林一茶

 「やせ蛙 負けるな一茶 これにあり」

 弱々しいやせ蛙よ、負けないで、私が応援しているよ。

 弱そうな雄蛙と頑強な体の雄蛙が雌蛙を狙って争っていた時の句だそうです。

 負けそうなやせ蛙に寄添って応援している様子がリアルです。

 自らの不遇を重ね合わせた句、はたまた、虚弱な子供に対する応援句の説があるようです。

 一茶は、20代から白髪頭で女性にもてなかったようです。52歳で結婚はしましたが。

 痩せた弱々しい蛙ともてない自分を重ね合わせて詠んだと。

 一方、虚弱な子供に対する応援句、最初の子は生まれて1ヶ月でなくなり、その後も3人の子供ができたそうですがその3人も亡くなりました。そして最後は妻も病気でなくなったとのことです。

 自らは58歳で脳卒中となり半身不随に、家までも火事になったという波瀾万丈な人生を送ったそうです。

 自分の子が病魔とたたかいやせていく姿と痩せた弱々しい蛙を重ね合わせたと。

 後の説ならそれは切ないですね。

 でも、暗さはなく、リアリティのある、場面も明るい陽射し中での出来事のように感じられます。

 俳人とは、苦難な状況を経験し、始めて、苦難を感じさせない句にサラッと昇華させることができる人のことをいうのでしょうか。

 写真は畑のゴボウの大葉に乗っかていた蛙ちゃんです。前足を折りたたんだように見えます。  

 行儀がいいですね。気持ち良さそうです。


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