雪下出麦(せっかむぎをいだす)

2021/12/31 掲載

冬至(二十二節気)末候 第六十六候 1231日~14日頃

 積もった雪の下で麦が芽をのばす頃です。

 麦はトウモロコシ・米と並んで世界の三大穀物で、農水省のデータによれば、年間生産量の多い順に、トウモロコシ(10.3億トン)、小麦(7.4億トン)、米(4.8億トン)、その次にはジャガイモ(3.8億トン)だそうです。トウモロコシが一番なんですが、先進国では肥料用が多く、それとバイオエタノールの原料としても最近は使われているようですので、人間の口に入るものとしては、小麦が一番なんでしょうか? 日本での麦生産はまだ少量、輸入に頼っています。

 麦といえば麦畑。世代的にはドリフの「誰かさんと誰かさんが麦畑・・・♪♪♪」なんですが、原曲はスコットランドのようですね。「蛍の光」をはじめ、当地の民謡と日本人のハートの相性はいいようです。

 麦は踏まれて強くなるといわれており、霜柱による土壌の浮きを防いで根張りを良くするなど色々な理由により数回麦踏作業(機械化あり)を行うようです。 別名「越年草」。

 さて、播磨自然高原では、3,4日前、マイナス4度以下になるところもあり本格的な冬を迎えています。雪は今のところ積もっていません。大晦日にまた寒波が襲来するようですね。こちらに来られる方は直前の天気情報をよく確認してくださいね。

 大晦日といえば樋口一葉が詠んだ和歌があります。

 明治24年の師走

くれてゆく 年の道さへ みゆるかと おもふてばかりに てる月夜かな

  ~樋口一葉(1872-1896) 「樋口一葉 和歌集」~

 年の瀬を感じながら月を眺めている作者の様子?当時どう思っていたのでしょうね?

 5000円札の樋口一葉(2024年には津田塾大学創設の「津田梅子」が新顔になります)は、短編小説「大つごもり」を書いています。いまではそうないと思われますが、年末の借金や出来事にまつわる悲喜劇を描いた作品です。

 若き頃、明治時代の封建的な男社会や貧しさの中で苦悶した女性の悲しみを叙情性の中に昇華した夭折の女流文学者「樋口一葉」の代表作「たけくらべ」や「にごりえ」など読んだ記憶があります。

 あの時代に24歳の若さで肺結核で世を去った女性が、一瞬の光を放つがごとく世に残した短編作品です。

 もう一つ、正岡子規の「大晦日」

 けふをことしことしをけふのこよひ哉

 そして、明日はお正月ですね。「初夢」について、現在確認できる範囲で、日本ではじめて「初夢」が登場する歌、平安末期に詠まれた 

西行法師の歌

 年くれぬ春来べしとは思ひ寝むまさしく見えてかなふ初夢

  ~西行 「山家集」から

 詠まれたのは1148(久安4)年。当時、「祇園闘乱事件」があり、世情が混迷していた時期に、新しい年が平穏でありますようにと祈った歌だそうです。

 時は流れ流れて、今は、令和3年12月31日、皆様方が健やかな年を迎えられ、それぞれの初夢が叶う年になればいいですね。

 この5月から、24節気72候の中に人々の自然との共生、営みなどに思うところを徒然に綴ってまいりました。

 来年も引き続きよろしくお願いいたします。

   皆様、良いお正月を!!


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