2021/11/22 掲載
小雪(二十節気)初候 第五十八候 11月22日~11月26日頃
太陽の光が弱まり、空気も乾燥して虹が見えなくなってくる頃です。
虹が現れる条件は、太陽の光と湿った空気、2週間前ごろに、にわか雨が
降った後に虹を見たのが今年最後でしょうか?
虹は、今では、西洋文化の影響なのか、夢・希望の象徴として明るいイ
メージがありますが、中国由来では不吉なものであるらしい? 民族が違
えば捉え方も千差万別。
日本では虹は7色が一般的ですが、東洋では5色、西洋では5色もしく
は3色のようです。
さて、播磨自然高原での紅葉は真っ只中ですが、一部では早くも落ち葉
となっています。高台からの眺めでは全体が黄葉、渇葉になっているのが
わかります。
本当に自然の移ろいを肌で感じることがこの高原ではできますね。
ただ、この時期は、寒さも進み、日暮れも早く、車・人の往来も少なく
なると、何故か、心寂しく、心細くなっていくような感覚もあるのですが?
さて、この23日は「勤労感謝の日」ですね。元は、秋の収穫への感謝
「新嘗祭」の祝日。民間祭礼としては、農耕民族としての田の神様に感謝
する、2009年ユネスコの無形文化遺産に登録された能登半島の「あえのこ
と」が結構有名なのではないでしょうか?
「あえのこと」(「あえ」は「もてなし」、「こと」は「儀礼」)は、
神様の迎えとして暮れの12月5日と神様のお見送りとしての春の翌年2月
9日、年2回行われるのが一般的のようです。暮れは田の神様を家に招き
入れ一年の収穫に感謝、春を迎えるまで家の中で過ごしていただく。そ
して、神様にその年の五穀豊穣を祈願、田んぼへとお送りします。結構
長い間神様がいらっしゃるということ? それもご夫婦で? 田舎の広
いおうちでないとゆっくりできませんね
この祭礼は、各農家の子どもたちが親の仕草を見て祭礼の段取りを覚
えていくとのことです。農家の奥座敷で行われてきたので、その作法は
それぞれ、進化して一緒ではないですが、ユネスコの無形文化遺産に登
録されたこともあるのか、祭礼を見学できるようにし、貴重な文化・風
習を将来に繋げていこうと努めています。
祭礼は、能登の山海の幸を用いた「田の神様」への接待。御夫婦なの
で料理を乗せた神膳、盃、箸などは二組。代表的な「お供え物」は、コ
シヒカリの小豆ご飯、たら汁、二股大根と鱈の酢の物、鱈の子付けのお
造り、尾頭付きの生のはちめ、甘酒などと観光ガイド等には書いてあり
ます。
縁起が良い「赤飯」をお供えしないのは、赤飯は米を蒸してつくるた
め、「蒸し」が「虫」を連想、いもち病などにならないよう赤飯を避け、
その代わりに「小豆ご飯」だそうです。
また、焼魚をお供えしないのは、「田が焼ける」、すなわち干ばつを
思い起こさせる、「はちめ」という魚は、別名「メバル」、農耕にとっ
て「芽張る」と縁起が良い、二股大根で子孫繁栄を祈願と、日本人のお
せち料理の「蓮根」は穴が開いていて「見通しが良い」、昆布巻きの
「よろこぶ」、黒豆の「まめに働く」の類のようですね。
この祭礼の面白いところは、田の神様がその場にいるかのように振る
舞う所です。田の神様は目が不自由な神様と言い伝えられていますので、
神膳に乗ったご馳走の内容を口に出して説明、あたかも、一人芝居を見
ている様な感じ?
昔の農業は、自然環境との共生が強く、自然の恵みに対する感謝、畏
敬の念をもって生活してきたのでしょう。身近なところから自然に発生
した「あえのこと」、人間の謙虚さを窺い知ることができます。この貴
重な伝統文化が、今後もこの地で大切にされ受け継がれていくことを願
います。
同時に、この播磨自然高原も自然との共生の中で、魅力のある場所で
あってほしいと願うとともに、そのためには一人一人がコミットしてい
くことが大切であると思います。多くの方が傍観者になればそこから生
まれるものに良いものは少なくなるのではないでしょうか?
皆さん、協力してよりよい播磨自然高原にしていきましょうね。