蟄虫坏戸(ちっちゅうとをとざす)

  • 2021/9/28 掲載

秋分(十六節気)次候 第四十七候 928日~102日頃

 虫が土にもぐって穴をふさぐ頃です。

 蝶々の幼虫は蛹(さなぎ)で冬の寒さをしのぎ、クワガタは成虫のまま土の下(木の根元など) に潜ります。土の中は、温度変化が少ない(10㎝下で3度程度、30㎝下では1度程度?)ので生き物にとっては体への負担が少なくていいようです。

 そして、昆虫たちがいなくなると、それをエサとしていた爬虫類・両生類たちも冬眠、越冬します。

 さて、虫のなかで一番寿命が短いものはなんでしょう?

 成虫としての寿命でいえば「かげろう」です。24H未満の命。3億年前からカゲロウは現在と変わらぬ姿をしているそうです。人類の比ではないですね。まさに生きた化石。この厳しい生存競争の中でなぜ今まで生き抜くことができたのでしょうか?

 それはこの「短命」にあります。

 成虫のカゲロウは、餌を獲るこ とはなく(口も退化して無い?)、自らが生きるより子孫を残すことだけを目的としています。命が長くなるほど天敵に食べられたりして種の保存ができなくなる。カゲロウは命を短くして種を保存しているのです。

 カゲロウは天敵の鳥を避け、夕方ごろに大量に羽化しはじめます。次は夜の天敵、コウモリですが、コウモリはすべてのカゲロウを食べることができない。そして生き残ったオスとメスが出会い子孫を残す作業。その後、オスは死んでもメスはすぐには死ねない。水面に降りて水中に卵を産まなくてはなりません。そこでも、次の天敵、川に生きる魚に出会います。魚も必死ですがすべてを捕食できません。最後の天敵から逃れたカゲロウから産み落とされた卵が水底へ静かに沈んでいくのでしょう?

 新たな命へのバトンタッチが終了です・・・。

 そして、メスカゲロウの命はやがて果てていくそうです。

 明け方にはすべてが終わった?  その大量の死骸が宙に舞う時、陽炎のように見えることがあると・・・。

「カゲロウ の命」は一夜の出来事。

 人間は、やはり感情動物、人間視点からこの生きようを「カゲロウのような」と表現し、「今にも消え失せてしまいそうな状態であるさま」・「儚い」などの意味で使うようになったのでしょうか?

 この「はかない」も「人の夢」を当ててることから、夢って実現しない?消え失せてしまいそう? と考えるとちょっと儚いですね。

 さて、昆虫の寿命が短い理由は「体が小さいから」だと言われているようです。

 じゃあ、体が大きいものは長生きなの?となりますが、哺乳類のシロナガスクジラの寿命は 80~90年? ゾウさんも、60~70年? 虫の中でもオオクワガタは7年? 確かにそう思えてきます。

  * 上記写真は上郡町金出地(かなで)ダム下の水車

 オオデマリとカゲロウ


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