今年の終わりを告げる節気「冬至」となりました。この高原では、ここ数日、冬の雲がどんより、寒さも増してきました。連日の氷点下と朝は厳しく布団がほんとに恋しいといった感じでしょうか。
これから、クリスマス・大晦日・正月と行事も多く何かと気ぜわしい感じもしますが、皆様、いかがお過ごしの予定でしょうか。
今日は、色々ある中で、お節料理に焦点をあててみたいと思います。正月に家族や親しい人々とともに新年を祝うために用意される日本の伝統的な料理、もともと神々に供える「節供(せちく)」に由来し、特別な日に食べる料理として江戸時代に定着していました。現代では、新年の到来を祝い、家族の健康や幸運を願うために多くの家庭で振る舞われています。ただし、自家製じゃない?
お節料理は「重箱」に詰められるのが一般的で、各段には異なるテーマや意味が込められた料理が入っています。一般的に、三段重や四段重で構成されます。
- 一の重(祝い肴や前菜)
一の重には、縁起の良い食材が中心に詰められます。代表的なものに黒豆(健康や勤勉を願う)、数の子(子孫繁栄)、田作り(五穀豊穣)があり、彩りも華やかです。 - 二の重(焼き物)
魚介類や肉類の焼き物が入ります。鯛(「めでたい」に通じる)や海老(長寿の象徴)などがよく使われます。 - 三の重(煮物)
根菜やこんにゃくなどの煮物が詰められ、家庭ごとの味付けが楽しめる層です。ごぼう(根を張る象徴)や蓮根(先を見通せる縁起物)が人気です。 - 与の重(酢の物やその他)
四段重の場合、最後の段には酢の物や甘味が入ります。「四」は不吉とされることから「与」と表記されるのが特徴です。
しかし、最近は、伝統的なお節料理に加え、多様なニーズに応えるアレンジが増えています。
- 多国籍アレンジ
和食に限定せず、洋風や中華風の料理を取り入れる家庭も増えています。例えば、ローストビーフやエビチリ、チーズ料理などが加わることで、若い世代にも親しみやすい内容となっています。 - ヘルシー志向
健康志向の高まりにより、低カロリーで塩分控えめのレシピやビーガン対応のお節が注目されています。 - 個食化と少量化
核家族化が進む現代では、大人数用の重箱ではなく、少量で済むミニサイズのお節が人気です。一人暮らし用の「お一人様お節」も需要が高まっています。 - 購入型お節
手作りにこだわらず、百貨店やスーパー、インターネットで予約購入する家庭が増えています。冷凍や冷蔵で届くものが多く、豪華なホテル監修のお節や有名料理店がプロデュースしたものも選択肢に加わっています。
今どきのお節料理は、伝統を尊重しながらも現代のライフスタイルや価値観に適応した形で進化を遂げているようですね。皆さんもそれぞれのお節料理を楽しんでください。
さて、冬至と言えば、一年で最も夜の長い日、冷たい風が身を包む頃、人々は古くからこの日を特別な節目として迎えてきました。太陽が生まれ変わるように復活する日とされ、光を待つ心の行事が多くの土地で営まれます。その風習には、自然と共に生きる人々の知恵と、来るべき季節への願いが込められているようです。
日本では冬至といえば、「柚子湯」と「かぼちゃ」が象徴的。柚子湯に入る習慣は、身体を温め、邪気を払うとされています。お風呂に浮かべられた黄金色の柚子を指先で転がしながら、ほのかな香りを吸い込むと、心の隅々まで清められるような気がしませんか?肌に沁みる湯のぬくもりが、冬の寒さに凍えた体を包み込み、自然と安らぎを感じさせてくれます。
一方、かぼちゃを食べる習わしも、冬至の象徴として忘れがたいです。昔から「ん」のつく食べ物を食べると運を呼び込むと言われ、「南瓜(なんきん)」がその筆頭とされていました。
この節気の風景は、皆さんが幼いころ祖母の家などで過ごした冬至の夜を思い出させます。窓の外では冷たい風が吹きすさぶ中、家の中の温かさは格別じゃなかったですか?明日からは少しずつ日が長くなると思えばなんか元気が出てくるような?冬の厳しさを知るからこそ、春の喜びが大きくなる。
<福寿草をイメージ>
新年のフクジュソウについて
フクジュソウ(福寿草)は、日本において新年や春を象徴する花として広く親しまれています。その名前が「福」と「寿」という縁起の良い言葉を含むことから、幸福や長寿を象徴する花とされています。また、早春に花を咲かせるため、新たな始まりや生命力の象徴ともなっているようです。
フクジュソウはキンポウゲ科の多年草で、学名は Adonis ramosa。鮮やかな黄色い花が特徴で、1月から2月の寒い季節に雪の間から芽を出し、花を咲かせることから「春を告げる花」とも呼ばれています。フクジュソウの花は日光に応じて開閉します。朝日が当たると開き、夕方や曇りの日には閉じる性質があり、この動きが生命力を象徴しているとされています。薬草としても古代から、フクジュソウは漢方薬としても利用されてきました。ただし、毒性があるため、適切な処置を行わなければ危険であることが知られています。
福寿草を題材にした歌、
人みなの いはふ名おひて あらたまの
年のはじめに 咲くやこの花
~本居宣長 『鈴屋集』
人がみな祝うようなめでたい名前を背負って、年の始めに咲く、この花は。
*めでた過ぎて、背負い過ぎて大変のような気もするのですが?
ほかには俳句で、
与謝蕪村
朝日さす弓師が店や福寿草
正岡子規
暖炉たく部屋暖かに福寿草
小林一茶
帳箱の上に咲きけり福寿草
*素直でわかりやすい句ですね
今年も多くの事がありました。年の瀬は、過ぎた日々を振り返らせ、新しい年を思い描く時でもあるようです。今年の経験を踏まえ、感謝の心を持ちながら豊かな日々を想い描いていきたいものです。
今年一年のご厚情に感謝し、来る年が皆さまにとって幸せな一年でありますようお祈りいたします。